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相続登記

評価額100万円以下の土地なら、相続登記の登録免許税は0円|実家の田んぼ・山林・私道の名義変更と「2027年3月31日」の期限、延長要望の現在地【滋賀・2026年10月時点】

公開日: 2026年10月13日|執筆: 株式会社BATON(相続と実家の相談室【滋賀県】)

相続した田んぼや山林など、実家の土地の名義変更を考えるイメージ

「父名義のままの田んぼと山があるのですが、売れるものでもないし、登記をするとお金がかかるのでそのままにしています」——滋賀県内で実家の相続のご相談をお受けしていると、宅地と建物の話が一段落したあとに、こうした一言が出てくることがよくあります(ご相談内容をもとに再構成した一般的な例です)。実は、評価額が100万円以下の土地については、相続登記にかかる登録免許税が「0円」になる免税措置があります。田・畑・山林・原野・私道(公衆用道路)など、評価額の低い土地が当てはまりやすい制度です。ただし、この免税措置には令和9年(2027年)3月31日という期限があり、しかもそれは、令和6年4月1日より前に相続した不動産の相続登記義務化の猶予期限とまったく同じ日です。この記事では、①相続登記の登録免許税はどう決まるのか、②免税措置の中身と「土地だけ」「不動産ごと」などの条件、③評価額100万円以下かどうかを自分で確かめる方法、④「2027年3月31日」という日付の意味と、法務省が出している延長要望の現在地、⑤滋賀での進め方と相談先、の順に整理します。

相続登記の登録免許税はどう決まるか——「評価額×0.4%」が原則

相続によって土地や建物の名義を変える登記(相続による所有権移転登記)には、国税である登録免許税がかかります。国税庁の税額表では、相続による土地の所有権移転登記の税率は1,000分の4(0.4%)です。

税額のもとになる「不動産の価額」について、国税庁は「市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格がある場合は、原則その価格です」と説明しています。つまり、固定資産税の評価額(課税台帳の価格)に0.4%を掛けた額が、原則の登録免許税です。

出典: 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(令和8年4月1日現在法令等)/e-Gov法令検索 登録免許税法(第19条)

評価額が高い宅地では無視できない金額になりますが、逆にいえば、評価額が数万円〜数十万円の田んぼや山林では、登録免許税そのものは1,000円〜数千円程度です(登録免許税法第19条により、計算した税額が1,000円に満たないときは1,000円になります)。それでも「登記をしない理由」に挙がることが多いのは、登記費用の全体像(戸籍集め、司法書士報酬など)が見えにくいからでしょう。そこで国は、低額の土地については登録免許税を免除し、相続登記を進めやすくする措置を設けています。

免税措置は2つ——「100万円以下の土地」と「登記前に亡くなった人の名義にする登記」

法務局は、相続登記の登録免許税について次の2つの免税措置を案内しています。

免税措置対象になる登記適用期間
(1)相続により土地を取得した人が、相続登記をしないまま亡くなった場合その亡くなった人を名義人とするための登記(例: 祖父→父の分の登記を、父が亡くなった後に行う)平成30年4月1日〜令和9年3月31日
(2)不動産の価額が100万円以下の土地相続による所有権移転登記、および表題部所有者の相続人が受ける所有権保存登記移転登記: 平成30年11月15日〜令和9年3月31日
保存登記: 令和3年4月1日〜令和9年3月31日

この記事の主題は(2)です。(1)の「数次相続」のケースは、姉妹記事祖父名義のままの土地・実家をどうする?で詳しく扱っています。

押さえておきたい4つの条件

出典: 法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について(2026年4月1日更新)/法務省 令和9年度税制改正要望「所有者不明土地・建物問題の解決のための登録免許税の特例」(PDF)

ポイント: 免税の対象は「不動産の価額が100万円以下の土地」で、「相続財産全体が100万円以下」という意味ではありません。実家の宅地と建物に加えて田・畑・山林が数筆あるご家庭では、宅地と建物は課税、田・畑・山林は免税という組み合わせになることが珍しくありません。

「評価額100万円以下」かどうかを自分で確かめる

判定に使う「不動産の価額」は、前述のとおり原則として市町村の固定資産課税台帳に登録された価格です。次の2つの書類で確認できます。

書類入手方法(草津市の例)確認できること
固定資産税の課税明細書毎年5月初旬に郵送される納税通知書に関わる書類。草津市は「納税通知書の課税明細書や名寄帳には、物件ごとの評価額や相当税額などを記載しています」と案内亡くなった方宛てに届いていた納税通知書があれば、物件ごとの評価額がすぐ分かる
固定資産評価証明書草津市では税務課で1通350円。相続人が申請する場合は、本人確認書類に加えて「戸籍謄本など所有者の死亡および相続関係がわかる書類」が必要。郵送申請も可登記申請の添付資料にもなる。亡くなった方宛ての古い明細書しか手元にない場合でも、最新年度の評価額を確認できる

出典: 草津市 固定資産税Q&A【共通関係】(2025年3月31日更新)/草津市 市税に関する証明発行(2025年8月26日更新)/草津市 郵送による証明発行の申請。他の市町の手数料・必要書類は各市町の税務担当課でご確認ください。

見落としやすい土地——「課税明細書に載っていない土地」

課税明細書は固定資産税の課税内容を示す書類のため、非課税の土地(私道として使われている公衆用道路など)は記載されないことがあると言われています。実家の敷地に接する私道の持分や、集落の共有地の持分は、相続人の方が存在を知らないまま名義が残りがちです。亡くなった方名義の不動産を漏れなく洗い出すには、実家のある市町の税務担当課に非課税の土地を含む名寄帳の交付を依頼するのが確実です。あわせて、2026年2月に始まった所有不動産記録証明制度も役立ちます(詳しくは所有不動産記録証明制度とは?)。

なぜ「2027年3月31日」が大事なのか——義務化の猶予期限と同じ日

相続登記の義務化の猶予期限

法務省は、令和6年4月1日から相続登記が義務化され、相続したことを知った日から3年以内に登記する必要があること、令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産は令和9年3月31日までに登記する必要があること、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料が科される可能性があることを案内しています。

出典: 法務省 相続登記の申請義務化について

免税措置の期限も同じ日

2章の表のとおり、100万円以下の土地の免税措置の適用期間も令和9年3月31日までです。つまり、「父名義のままの田んぼ」を令和9年3月31日までに登記すれば、義務を果たしながら登録免許税0円で済む可能性があります。

延長の要望は出ているが、決まっていない

法務省は、令和9年度税制改正要望(令和8年8月31日付)として、この2つの免税措置を「2年間延長」し、さらに「上記②の要件を緩和する等の更なる拡充や新たな特例措置を講ずる」ことを要望しています。要望書は、所有者不明土地の割合が令和7年度の国土交通省の調査でも約22%と高止まりしていること、100万円以下の土地の免税(適用要件②)の適用件数が令和7年度に311,949件あったことを、延長が必要な理由として挙げています。

ただし、これはあくまで要望の段階です。延長されるかどうかは、例年12月に取りまとめられる与党の税制改正大綱と、その後の法改正で決まります。この措置はこれまで、平成30年度の創設以降、令和3年度に1年、令和4年度に3年、令和7年度に2年と延長を重ねてきましたが、今回も延長されると断定することはできません。「延長されるだろうから急がなくてよい」とも、「4月から必ず課税される」とも言えないのが、2026年10月時点の正確な現在地です。

出典: 法務省 令和9年度税制改正要望「所有者不明土地・建物問題の解決のための登録免許税の特例」(PDF)/財務省 令和9年度税制改正要望(各府省庁から提出された要望・8月31日付)

だからこそ、「期限が確定している今のうちに登記を終える」という考え方が、いちばん安全です。戸籍集めや遺産分割協議には数か月かかることが多く、年内に書類をそろえ、年明けに申請するくらいが現実的なペースです。免税の該当可否や申請書の記載は、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。

滋賀での進め方と相談先

進め方の目安

  1. 土地の洗い出し: 亡くなった方宛ての課税明細書・名寄帳・所有不動産記録証明で、田・畑・山林・私道の持分まで洗い出す
  2. 評価額の確認: 土地ごとに100万円以下かどうかを課税明細書または評価証明書で確認(持分は全体×持分割合)
  3. 相続人の確定と遺産分割: 戸籍を集め、誰がどの土地を相続するか決める(田・畑・山林は「要らないから」と話し合いが後回しになりやすい土地です。名義を決めないと登記できません)
  4. 登記申請: 管轄の法務局へ。申請書に「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」を記載。宅地など課税対象の土地と同時に申請する場合は「一部の土地が免税対象の場合」の記載例を参照
  5. 農地の場合: 相続登記とは別に、農業委員会への届出(農地法第3条の3)が必要です(詳しくは相続した農地・田んぼが耕作できないとき)

相談先——できること・できないこと

相談先できることできないこと・注意
管轄の法務局(大津地方法務局 本局・支局・出張所)登記手続案内(申請書の書き方・免税の記載方法)、相続人申告登記遺産分割の内容の相談、書類の作成代行
実家のある市町の税務担当課(例: 草津市 税務課)課税明細書・名寄帳・評価証明書の交付登記の可否判断
司法書士相続登記の申請代理、戸籍収集、免税の該当判断を含む書類作成不動産の仲介(売却の媒介)・活用提案
株式会社BATON(077-535-4410・受付9:00〜17:00)田・畑・山林を含む実家の不動産を「登記後にどうするか」(売る・貸す・手放す・残す)の整理と、司法書士・税理士へのおつなぎ登記申請そのもの、税務の個別判断
事例: 田と山林は免税、宅地と建物は課税だったケース(仮名)
栗東市にお住まいのKさん(仮名・60代)は、亡くなったお父様名義の実家(宅地と建物)のほかに、田2筆と山林1筆が残っていることを課税明細書で知りました。司法書士に確認したところ、田と山林はいずれも評価額が100万円以下で、相続登記の登録免許税は免税の対象になり得ること、宅地と建物は通常どおり課税されることが分かりました。Kさんは「山と田は売れないから放っておくつもりだった」とおっしゃっていましたが、期限が同じ令和9年3月31日であることを知り、宅地・建物と一緒に相続登記を進める方針に切り替えられました。登記後の田と山林の扱いについては、当社で農地バンクや隣接所有者への相談を含めて整理しています。※事例は個人が特定されないよう再構成したものです。免税の該当可否は土地ごとの評価額や申請内容により異なり、必ず免税になるわけではありません。

まとめ

登記の手続きは司法書士または法務局、税務の個別判断は税理士または税務署が専門の窓口です。株式会社BATONは滋賀県草津市で、相続した実家と田・畑・山林を「登記のあとどうするか」まで含めて整理し、必要な専門家におつなぎしています。

「田んぼと山があるけれど、名義をどうすればいいか分からない」という段階のご相談で構いません。お電話・LINE・フォームで、ご相談は無料です。

よくある質問

Q. 評価額100万円以下なら、建物の相続登記も免税になりますか?

なりません。根拠条文の租税特別措置法第84条の2の2は対象を土地に限定しており、法務局が案内する2つの免税措置も、いずれも土地の登記を対象としています。建物の相続登記には原則どおり登録免許税(評価額の0.4%)がかかります。

Q. 田んぼが3筆あり、合計すると100万円を超えます。免税になりますか?

判定は土地ごとに行います。法務局は、一部の土地のみが免税対象になる場合の申請書の記載例を用意しており、1筆ごとに評価額が100万円以下かどうかで判断します。合計額ではありません。該当の可否は法務局または司法書士にご確認ください。

Q. 申請書に条文を書き忘れたら、後から免税にしてもらえますか?

法務局は「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」の記載がない場合は免税を受けられないと案内しています。申請前に記載の有無を必ず確認してください。令和8年4月1日から条番号が「第84条の2の3」から「第84条の2の2」に変わっているため、古い記載例をそのまま使わないようご注意ください。

Q. 2027年3月31日を過ぎたら、必ず登録免許税がかかるのですか?

現時点では、免税措置の適用期間は令和9年3月31日までと定められています。法務省は2年間の延長を要望していますが(令和9年度税制改正要望・令和8年8月31日付)、延長されるかどうかは未決定です。延長の有無は、例年12月の与党税制改正大綱と、その後の法改正で決まります。

※本記事は2026年10月13日時点で公表されている法務局・法務省・国税庁・財務省・草津市の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する法務・税務上の助言ではありません。免税措置の該当可否や申請書の記載は管轄の法務局または司法書士に、税務の判断は税理士または税務署にご確認ください。法務省の税制改正要望は要望段階の情報であり、延長・拡充の可否は確定していません。制度は改正されることがあり、自治体の手数料・必要書類は変更される場合があります。相続した土地の売却・活用など不動産に関する部分は株式会社BATONがお受けし、必要な専門家におつなぎします。
出典: 法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について(2026年4月1日更新)/法務省 令和9年度税制改正要望「所有者不明土地・建物問題の解決のための登録免許税の特例」(PDF・財務省掲載)/財務省 令和9年度税制改正要望(各府省庁から提出された要望・8月31日付)/国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(令和8年4月1日現在法令等)/e-Gov法令検索 登録免許税法(第19条)/法務省 相続登記の申請義務化について/草津市 固定資産税Q&A【共通関係】(2025年3月31日更新)/草津市 市税に関する証明発行(2025年8月26日更新)/草津市 郵送による証明発行の申請

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