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相続登記

祖父名義のままの土地・実家をどうする?数次相続で相続人が増えたときの相続登記と2027年3月31日の期限【滋賀・草津】

公開日: 2026年9月24日|執筆: 株式会社BATON(相続と実家の相談室【滋賀県】)

相続関係を書き出した家系図と戸籍、印鑑、古い家のイメージ

「実家の隣にある畑を売ろうとしたら、名義がまだ祖父のままだった。しかも、祖父の相続人だった父も、そのおじも、もう亡くなっている——」滋賀で実家や土地のご相談をうかがっていると、この形のお話をうかがうことがあります(当社でお受けしたご相談内容をもとに再構成した一般的な例です)。共通しているのは、「誰も手続を怠けたわけではない」という点です。住み続けている、使っていない、誰も困っていない。そうして一代分の登記が先送りになり、次の相続が起き、また先送りになる。気づけば関係者が十数人にまで広がっていた、というお話をうかがうことがあります。この状態には、日付のはっきりした期限があります。令和6年(2024年)4月1日より前に相続したことを知った不動産は、令和9年(2027年)3月31日までに相続登記をする必要がある——法務省はそう案内しています。

「祖父名義のまま」の間に、相続人は増えている

登記の名義が祖父のままでも、法律上の権利まで止まっているわけではありません。祖父が亡くなった時点で相続は起き、その相続人(たとえば祖母と子どもたち)に権利が移ります。そして遺産分割も登記もしないうちにその子ども(あなたのお父様やおじ・おば)が亡くなると、その方の相続人(配偶者・子)にさらに権利が移ります。相続が重なって起きているこの状態を、実務では数次相続と呼びます。

何が起きるか、ふたつあります。

「あとでまとめてやればいい」が成り立たないのは、先送りするほど、当事者も書類も増えていくからです。たとえば、当初は3人で決められたはずの話が、二代分の相続が重なって十数人に膨らむ——そうした広がり方をすることがあります(数字はあくまで説明のための例です)。

なお、相続人の間で分け方が決まらないまま長く放置することについては、令和3年の民法改正で、早期の遺産分割を促すための新たなルールが令和5年(2023年)4月1日から開始されています。放っておくと、話し合いの前提そのものが変わり得る、ということです。共有名義になっている実家については実家が兄弟の共有名義に…そのままで大丈夫?もあわせてご覧ください。

出典: 法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~/法務省 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し

2027年3月31日 — 「昔の相続」に設けられた期限

相続登記は、令和6年(2024年)4月1日から申請が義務化されています。法務省は「相続したことを知った日から3年以内に登記!」と案内し、「正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります」としています。

ここで誤解されやすいのが、「3年以内」は義務化より後に知った相続の話だという点です。祖父名義のままの土地のように、義務化より前から続いている相続には、別の日付が用意されています。法務省のQ&Aには、こう書かれています。

「令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、相続登記がされていないものについては、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。」

つまり、起点は「その不動産を相続したことを知った日」であり、「登記をしていない年数」ではありません。祖父の相続を当時から知っていたのであれば、その相続分については令和9年3月31日が期限ということになります。

数次相続では、相続ごとに別々の期限が走ります。祖父の相続・父の相続というように、それぞれに申請義務と期限が生じ、令和6年4月1日以後に相続を知ったものは「知った日から3年以内」が期限とされています。「この土地は令和9年3月31日の一本」と思い込むと、後から起きた相続の期限を見落とすことがあります。ご自身のケースでどの日付が動いているかは、法務局の登記手続案内または司法書士にご確認ください。

過料についても、手続の流れが示されています。法務省によれば、登記官が義務違反を把握した場合、まず登記をするよう催告(催告書の送付)があり、催告書に記載された期限内に登記がされない場合に、登記官が裁判所に申請義務違反を通知する、という順序です。いきなり金銭の請求が届く仕組みではありません。ただし、催告が来てから戸籍集めを始めたのでは間に合わないことがあるのが、数次相続のケースです。制度の全体像は相続登記の義務化とは?期限・罰則・手続きを解説で整理しています。

出典: 法務省 相続登記の申請義務化/法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A

間に合わないとき — 「正当な理由」と相続人申告登記

数次相続では、「やる気はあるが物理的に間に合わない」ということが実際に起こります。制度側にも、それを見込んだ受け皿が2つ用意されています。

(1)「正当な理由」があると認められる場合

法務省のQ&Aは、正当な理由があると認められる例をいくつか挙げています。そのひとつが、まさに数次相続で起きやすい状況です。

「相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合」

このほか、遺言の有効性や遺産の範囲が相続人等の間で争われている場合、義務を負う方自身に重病その他これに準ずる事情がある場合などが挙げられています。ただし、当てはまるかどうかを自分で決めてよいという話ではありません。個別の判断は、司法書士や法務局の登記手続案内でご確認ください。

(2)相続人申告登記(令和6年4月1日〜)

もうひとつが相続人申告登記です。法務省は、「期限内(3年以内)に相続登記の申請をすることが難しい場合に簡易に相続登記の申請義務を履行することができるようにする仕組み」と説明しています。自分が登記名義人の相続人であることを法務局に申し出ると、登記官が審査のうえ、申出をした相続人の氏名・住所等を職権で登記に付記します。相続人の一人が単独で申し出ることができ、これによって申請義務を履行したものとみなされます。

ただし、これは「終わり」ではありません。法務省は、相続人申告登記について次のように注意しています。

「不動産についての権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、別途、相続登記の申請をする必要がある」

また、遺産分割が成立した場合には、それに基づく登記の申請義務を相続人申告登記で履行することはできないため、改めて相続登記が必要です。「売るために名義を整える」段階では、結局この本体の登記に戻ってくることになります。売却との関係は相続登記が終わっていない実家を売るにはで詳しく解説しています。

出典: 法務省 相続人申告登記について/法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A

手続を軽くする3つの仕組み

数次相続の負担は、「戸籍集め」「書類の持ち回り」「費用」に集中します。それぞれに、いま使える制度があります。

(1)戸籍証明書の広域交付(令和6年3月1日〜) — ただし直系に限られる

戸籍法の一部を改正する法律が令和6年3月1日に施行され、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになりました。本籍地が全国に散っていても、1か所の窓口でまとめて請求できるのが利点です。

ただし、法務省の案内によれば、次の制限があります。

数次相続では、おじ・おば・いとこといった傍系の戸籍が必要になる場面が多くあります。そこは広域交付の対象外で、従来どおり本籍地への請求になります。「広域交付ができたから全部その場でそろう」とは限らない、と見ておくのが安全です。

(2)法定相続情報証明制度 — 束を1枚にまとめる

相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)と戸除籍謄本等の束を登記所に提出し、内容が民法に定められた相続関係と合致していることを登記官が確認すると、認証文を付した写しが無料で交付されます。登記・金融機関・各種手続で戸籍の束を何度も出し直す手間を減らせる仕組みです。相続人が多い事案ほど、手間の削減につながりやすい制度です。

(3)登録免許税の免税措置 — 期限は令和9年3月31日

法務局は、相続登記の登録免許税について2つの免税措置を案内しています。数次相続に直接効くのは、(1)の方です。

免税措置(いずれも土地の登記が対象。建物は対象外)対象適用期間
(1)相続人が登記を受ける前に死亡した場合「個人が相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したとき」平成30年4月1日から令和9年(2027年)3月31日まで
(2)不動産の価額が100万円以下の土地土地について相続による所有権の移転の登記(または表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記)で、不動産の価額が100万円以下の土地であるとき移転登記=平成30年11月15日から令和9年3月31日まで/保存登記=令和3年4月1日から令和9年3月31日まで

(1)はまさに、祖父から父へ移す分の登記を、父が亡くなった後に行うというケースです。ただし免税の対象はいずれも土地に限られ、建物は対象外です。これらの免税を受けるには、申請書に非課税の根拠となる条文を記載する必要があるとされていますので、具体的な記載方法は法務局のページまたは登記手続案内でご確認ください。

気づいていただきたいのは、義務化の猶予期限も、この免税措置の適用期限も、同じ令和9年3月31日だという点です。先送りにすると、期限と減免の両方を同時に失う可能性があります。

出典: 法務省 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)/法務局 法定相続情報証明制度について/法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について

滋賀での進め方 — 「誰が相続人か」から

順番としては、次の流れが基本になります。

  1. 不動産の特定 — 固定資産税の納税通知書、権利証(登記識別情報)、登記事項証明書で、対象の土地・建物を確定します。「あるはずだが場所が分からない」土地がある場合は、所有不動産記録証明制度が使える場面があります
  2. 名義人の確認 — 登記事項証明書で、現在の名義が誰で、いつの登記かを確認します
  3. 相続人の確定 — 亡くなった方それぞれの出生から死亡までの戸籍をたどります。ここが数次相続でいちばん時間のかかる工程です
  4. 法定相続情報一覧図の作成・申出 — 3の結果を1枚にまとめます
  5. 遺産分割の話し合い — 関係者が多い場合、連絡そのものに時間がかかります。早い段階で着手するのが現実的です
  6. 相続登記の申請 — 免税措置に当たるかどうかもここで確認します

滋賀県内の不動産の管轄については、大津地方法務局(本局)が大津市・草津市・栗東市・守山市・野洲市の不動産登記を管轄しています(所在地: 〒520-8516 大津市京町3丁目1番1号 大津びわ湖合同庁舎/電話077-522-4671)。他の市町の管轄は支局・出張所に分かれていますので、大津地方法務局の管轄区域一覧でご確認ください。手続の進め方そのものについては、法務局の登記手続案内や司法書士にご相談いただくのが確実です。相談先の選び方は相続の相談は誰にすればいい?にまとめています。

出典: 大津地方法務局 不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧

事例:祖父名義の畑が見つかったケース(仮名)
滋賀県内にお住まいのNさん(仮名)は、実家の売却を検討する中で、隣接する畑の名義が祖父のままであることに気づきました。祖父の相続人だった父も、そのおじ・おばもすでに他界しており、関係者はいとこを含めて二桁に。Nさんご自身は「どこから手をつければいいのか」で止まっていました。当社では、まず登記事項証明書と固定資産税の納税通知書で対象不動産を整理し、戸籍の収集と相続人の確定を司法書士へ、農地としての扱いを農業委員会へという形で、窓口を分けてお手伝いしました。※事例は個人が特定されないよう再構成したものです。ご家庭の事情や制度の運用によって進め方は異なります。農地の扱いは相続した農地・田んぼが耕作できないときもご覧ください。

まとめ

株式会社BATONは滋賀県草津市で、「名義が何代も前のままで、どこから手をつければいいか分からない」という段階のご相談をお受けしています。登記事項証明書・固定資産税の納税通知書をもとにした対象不動産と現状の整理、名義が整ったあとの売る・貸す・残すの比較、査定、解体の見積り取得などをお手伝いし、相続登記は司法書士、税金は税理士、もめている場合は弁護士という形で必要に応じて各専門家におつなぎしています(当社自身が登記申請や税務・法律事務を行うものではありません)。

ご相談は無料です。まずは「うちの場合どうなりますか」から、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 祖父名義のままの土地にも、相続登記の期限はありますか?

あります。法務省は、令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で相続登記がされていないものについては、令和9年(2027年)3月31日までに相続登記をする必要があるとしています。起点は「相続したことを知った日」です。なお数次相続では相続ごとに別々の期限が生じ、令和6年4月1日以後に相続を知ったものは知った日から3年以内とされています。

Q. 相続人が十数人いて、期限までにまとまりそうにありません。

法務省のQ&Aは、正当な理由があると認められる例として「相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合」を挙げています。また、相続人申告登記により簡易に申請義務を履行する方法もあります。当てはまるかどうかの判断は、司法書士または法務局の登記手続案内にご確認ください。

Q. 相続人申告登記をすれば、それで終わりですか?

いいえ。法務省は、相続人申告登記は権利関係を公示するものではないため、売却や抵当権の設定をするような場合には別途相続登記の申請が必要としています。遺産分割が成立した場合も、それに基づく登記を改めて申請する必要があります。

Q. 戸籍は近所の市役所でまとめて取れますか?

令和6年3月1日から広域交付が始まり、本籍地以外の窓口でも請求できるようになりました。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍で、おじ・おば・いとこなど傍系は対象外です。コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍、一部事項証明書・個人事項証明書も請求できず、郵送・代理人による請求はできません。

Q. 登記費用を安くする方法はありますか?

法務局は、相続により土地を取得した方がその登記を受ける前に亡くなった場合の免税措置と、不動産の価額が100万円以下の土地についての免税措置を案内しており、いずれも令和9年3月31日までが適用期間とされています。どちらも土地の登記が対象で、建物は対象外です。当てはまるかどうかと申請書の記載方法は、法務局または司法書士にご確認ください。

Q. 滋賀の不動産は、どこの法務局に申請しますか?

大津地方法務局(本局)が大津市・草津市・栗東市・守山市・野洲市の不動産登記を管轄しています。その他の市町は支局・出張所の管轄となりますので、法務局のホームページの管轄一覧でご確認ください。

※本記事は2026年9月24日時点で公表されている法務省・法務局の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する法務・税務上の助言ではありません。相続登記の手続や「正当な理由」の当てはまりは司法書士または法務局(登記手続案内)、相続人間の争いに関する判断は弁護士、税金の取扱いは税理士または税務署にご確認ください。制度の内容・期限は変更されることがありますので、手続の前に一次情報をご確認ください。対象不動産と現状の整理、査定・売却・解体の見積り取得など不動産に関する部分は株式会社BATONがお受けし、必要な専門家におつなぎします。
出典: 法務省 相続登記の申請義務化/法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A/法務省 相続人申告登記について/法務省 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)/法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~/法務省 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し/法務局 法定相続情報証明制度について/法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について/大津地方法務局 不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧

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