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税金

「結婚・子育て資金の一括贈与」の非課税は2027年3月末で終わる?こども家庭庁が延長ではなく「廃止」を要望|制度のしくみ・使う前の3つの注意点と、「使わない」という選択【滋賀・2026年10月時点】

公開日: 2026年10月22日|執筆: 株式会社BATON(相続と実家の相談室【滋賀県】)

家族が実家と書類を前に将来の引き継ぎを考えるイメージ

「孫の結婚資金を援助したいが、贈与税がかからない方法があると聞いた」「教育資金の贈与はもう終わったと聞いたが、結婚・子育て資金のほうはまだ使えるのか」——滋賀県内で相続・生前対策のご相談をお受けしていると、お子さんやお孫さんへの資金援助についてこうしたご質問をいただくことがあります(ご相談内容をもとに再構成した一般的な例です)。結論から言うと、「結婚・子育て資金の一括贈与」の非課税措置は、2027年(令和9年)3月31日が適用期限で、制度を所管するこども家庭庁は令和9年度税制改正要望で「延長」ではなく「期限到来をもって廃止」を要望しています。ただし、これは要望の段階です。例年どおりであれば年末に与党の税制改正大綱がまとまり、翌年の通常国会で法律が成立してはじめて確定しますので、本記事の時点で「廃止が決まった」わけではありません。この記事では、①いま何が起きているのか、②そもそもどんな制度なのか、③使う前に知っておきたい3つの注意点、④「使わない」という選択、⑤同じ2027年3月31日に重なる相続登記の期限と滋賀での相談先、の順に整理します。税務の個別判断は税理士・税務署の領域ですので、本記事は制度の一般的な解説にとどめ、当社の業務である「実家・不動産を含めた生前の整理」の観点から補足します。

いま何が起きているのか——こども家庭庁の「廃止」要望

要望の内容(原文)

財務省が公開している令和9年度税制改正要望(8月31日付)の中に、こども家庭庁の「令和9年度税制改正見直し事項(廃止・縮減)」として、次の項目があります。

項目名: 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の廃止
要望の内容: 令和9年3月31日の適用期限の到来をもって、本特別措置を廃止するとともに、同日までに拠出された金銭等については、引き続き本特別措置を適用できることとする。
——こども家庭庁 令和9年度税制改正見直し事項(廃止・縮減)

ポイントは2つです。

  1. 2027年3月31日の期限を延長せず、そのまま終わらせるという要望であること
  2. 期限までに金融機関に拠出(預け入れ)した分は、期限後も引き続き非課税の扱いを受けられるという要望であること(途中で打ち切られる内容ではありません)

廃止を求める理由——利用が年間200件台

要望書は、廃止の理由として、制度が平成27年度以降「結婚や出産・子育てに係る経済的負担の解消に貢献すること」を目的に講じられてきたものの、「近年は利用件数が低迷しており、今後の利用増加も見込み難い状況」であることを挙げています。要望書に記載された数字は次のとおりです。

項目数値(要望書の記載)
利用件数令和5年: 217件/令和6年: 253件/令和7年: 219件
「結婚・子育て支援信託」の認知率令和4年調査: 19.4%/令和6年調査: 23.2%/令和8年調査: 22.9%(目標値30.0%)

全国で年間200件台という利用件数です。要望書は、令和5年度の与党税制改正大綱で「制度の廃止も含め、改めて検討する」とされ、令和7年度の大綱でも利用低迷が指摘されていた経緯にも触れています。つまり、以前から「廃止も視野」とされていた制度について、所管省庁自身が「延長は求めない」と整理したのが今回の要望です。

「決まった」ではなく「要望」——決まる流れ

税制改正は、各省庁の要望(8月末)→与党税制調査会の審議→与党税制改正大綱(例年12月)→法案の国会提出・成立(翌年3月頃)という順で進みます。本記事の時点(2026年10月22日)では要望の段階で、大綱や法律で確定したものではありません。

「延長されない見込み」と「廃止が決まった」は違います。最新の状況は、財務省・国税庁の公表情報でご確認ください。

出典: こども家庭庁 令和9年度税制改正見直し事項(廃止・縮減)「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の廃止」(PDF・財務省掲載)/財務省 令和9年度税制改正要望(8月31日付)

そもそもどんな制度か——「結婚・子育て資金の一括贈与」のしくみ

国税庁のタックスアンサー(No.4511)とパンフレット(令和7年6月版)によると、制度の骨子は次のとおりです。

項目内容
根拠租税特別措置法 第70条の2の3
対象期間平成27年4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間の拠出
贈与する人受贈者の直系尊属(父母・祖父母など)
受け取る人契約締結日において18歳以上50歳未満の子・孫など
所得要件受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用不可(平成31年4月1日以後の拠出分)
非課税限度額受贈者1人につき1,000万円まで(うち結婚に際して支払う費用は300万円が限度)
手続き信託銀行・銀行・証券会社などに専用口座(結婚・子育て資金口座)を開設し、「結婚・子育て資金非課税申告書」を金融機関経由で提出。支払いのたびに領収書等を金融機関に提出

「結婚・子育て資金」の範囲

パンフレットでは、対象となる費用を次のように例示しています。

費目の細かな範囲は、こども家庭庁が「別表1(費目リスト)」やQ&Aを公開しています。「この支払いは対象になるか」は、口座を開設した金融機関またはこども家庭庁の案内でご確認ください。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(令和8年4月1日現在法令等)/国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(PDF・令和7年6月)/こども家庭庁 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

使う前に知っておきたい3つの注意点

「1,000万円まで非課税」という数字だけが独り歩きしやすい制度ですが、国税庁のパンフレットには、使い方によっては課税が生じる場面が明記されています。期限前の駆け込みを考える前に、次の3点は押さえておきたいところです。

① 使い残しには贈与税がかかる

この口座の契約は、受贈者が50歳に達したとき、口座残高がゼロになり契約終了の合意があったとき、受贈者が死亡したときに終了します。50歳到達や残高ゼロで終了した場合、非課税で拠出した額から実際に結婚・子育て資金として支払った額を差し引いた残額は、契約終了の年に贈与があったものとして、受贈者の贈与税の課税価格に算入されます。「とりあえず1,000万円入れておく」と、使い切れなかった分にあとから贈与税がかかり得る、ということです。なお、令和5年4月1日以後に拠出した分に対応する残額を暦年課税で申告する場合は、一般税率(特例税率ではない税率)が適用されます。

② 贈与した人(祖父母・父母)が亡くなると、残りは相続税の対象になる

契約期間中に贈与者が亡くなった場合、その時点の「管理残額」(非課税拠出額から支出額を差し引いた残額のうち一定の計算をした金額)は、贈与者から相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税価格に含めて計算します。さらに、受贈者が贈与者の子以外(孫など)の一定の者である場合、管理残額のうち令和3年4月1日以後に拠出した分に対応する部分には相続税額の2割加算が適用されます。「孫に渡して相続財産から外す」つもりで使うと、使い切れていない分は相続税の計算に戻ってくる、という点は、制度の設計上そうなっています。

③ 領収書の提出など、手間が続く

支払いのたびに、領収書などその支払いの事実を証する書類を金融機関に提出する必要があります(提出期限は払出方法により「支払年月日から1年を経過する日」または「支払年月日の属する年の翌年3月15日」)。受贈者が50歳になるまで続く契約で、18歳で契約した場合は最長32年です。贈与する側だけでなく、受け取る側(お子さん・お孫さん)が手続きを続けられるかも、判断材料になります。

出典: 国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(PDF・令和7年6月)(契約終了時の残額の課税/贈与者が死亡した場合の取扱い/領収書等の提出期限)

「使わない」のも普通の選択——比べておきたい3つのこと

年間200件台という利用件数が示すとおり、この制度はもともと多くの方が使っているものではありません。「期限が来るから急いで使う」のではなく、次の点と比べたうえで判断するのが現実的です。

  1. 暦年課税の基礎控除(年110万円): 国税庁のタックスアンサー(No.4408)によると、贈与税は1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いて計算します。結婚や出産の都度、必要な額を援助する方法は、専用口座も領収書の提出も要りません。ただし、相続開始前の一定期間内の贈与は相続財産に加算される「生前贈与加算」の対象になり、加算期間は3年から7年へ段階的に延長中です(国税庁 タックスアンサー No.4161。詳しくは生前贈与の「7年ルール」はいつから始まる?)。
  2. 教育資金の一括贈与はすでに期限が到来: 同じ「一括贈与」型の教育資金の非課税措置(1,500万円まで)は、国税庁のタックスアンサー(No.4510・令和8年4月1日現在法令等)で対象期間が「平成25年4月1日から令和8年3月31日まで」とされており、新たな拠出の期限はすでに過ぎています。金融機関の管理契約を使う「一括贈与」型の非課税措置は、結婚・子育て資金が廃止されればなくなる方向です(住宅取得等資金の贈与税非課税など、他の制度は別です)。
  3. 実家・土地を含めた全体で考える: 当社のご相談では、「孫への現金の援助」と「実家や土地を誰がどう引き継ぐか」が別々に検討されていることが少なくありません。現金の贈与を先に決めてしまうと、あとで相続時に「実家を引き継ぐ人」と「現金をもらった人」の間で不公平感が生じることがあります。資金援助は、不動産の棚卸し(名義・評価額・売れるかどうか)とあわせて、家族全体で考えることをお勧めしています。
どの方法が有利かは、贈与する方の財産の内容や相続人の構成によって変わります。 税額の比較や制度の適用可否は、税理士または税務署にご相談ください。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)(令和8年4月1日現在法令等)/国税庁 タックスアンサー No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(令和8年4月1日現在法令等)/国税庁 タックスアンサー No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(令和8年4月1日現在法令等)

同じ「2027年3月31日」に重なる期限と、滋賀での相談先

2027年(令和9年)3月31日は、この制度の期限であると同時に、相続登記の申請義務化の猶予期限でもあります。法務省は、令和6年4月1日より前に相続した不動産について令和9年3月31日までに相続登記をする必要があること、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料が科される可能性があることを案内しています。また、評価額100万円以下の土地の相続登記にかかる登録免許税の免税措置の期限も同じ日です(法務省が2年延長を要望中・未決定。詳しくは評価額100万円以下の土地なら、相続登記の登録免許税は0円)。本記事の時点で残り160日です。

お孫さんへの資金援助を考えるタイミングは、実家や土地の名義を確認するよい機会でもあります。祖父母名義のまま止まっている土地が見つかることも少なくありません(詳しくは祖父名義のままの土地・実家をどうする?)。

相談先できることできないこと・注意
税理士・税務署結婚・子育て資金の一括贈与や暦年贈与の適用可否、税額の試算、相続税・贈与税の申告不動産の査定・売却の媒介
口座を開設する金融機関(信託銀行・銀行・証券会社)結婚・子育て資金口座の開設、非課税申告書の受付、対象費用の確認、契約終了の手続き相続全体の設計、不動産の処分
こども家庭庁 少子化対策室結婚・子育て資金の範囲(費目リスト・Q&A)の案内(一般の方はまず金融機関へ)個別の税額判断
司法書士・法務局相続登記、祖父母名義の土地の名義変更、登記手続案内税額の判断、不動産の仲介
株式会社BATON(077-535-4410・受付9:00〜17:00)実家・土地の棚卸し(名義・評価額・売れるかどうか)、「誰が何を引き継ぐか」を資金援助とあわせて家族で整理するお手伝い、税理士・司法書士へのおつなぎ税務の個別判断、贈与契約書・申告書の作成、登記申請そのもの

出典: 法務省 相続登記の申請義務化について/法務省 令和9年度税制改正要望事項「所有者不明土地・建物問題の解決のための登録免許税の特例」(PDF・財務省掲載)/こども家庭庁 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(問い合わせ先)

事例: 「孫の結婚資金」の相談から、祖父名義の畑が見つかったケース(仮名)
草津市にお住まいのSさん(仮名・70代)は、来春に結婚するお孫さんへの援助を考え、「結婚・子育て資金の贈与が非課税になると聞いたが、来年3月で終わると知って急いだほうがよいか」と当社にご相談くださいました。当社では制度の概要と「要望段階であること」「使い残しや贈与者の死亡時には課税が戻ってくること」を一般論としてお伝えし、税額の比較は税理士におつなぎしました。あわせて、Sさんの不動産を棚卸ししたところ、ご自宅のほかに亡くなったお父様名義のまま残っている畑があることが分かり、相続登記の猶予期限(2027年3月31日)が同じ日であることから、畑の名義変更を司法書士に、援助の方法は税理士に、それぞれ並行して相談する形で整理しました。結果として、Sさんは一括贈与の口座は作らず、結婚に際して必要な額をその都度援助する方向で税理士と検討を進めています。※事例は個人が特定されないよう再構成したものです。どの方法が適切かはご家庭の財産・相続人の構成により異なります。

まとめ

結婚・子育て資金の一括贈与や暦年贈与の適用可否・税額の判断は税理士・税務署が、相続登記は司法書士・法務局が専門の窓口です。株式会社BATONは滋賀県草津市で、実家や土地の棚卸しと「誰が何を引き継ぐか」の整理を、お子さん・お孫さんへの資金援助の話とあわせて一緒に考え、必要な専門家におつなぎしています。

「孫に援助したいが、実家や土地のことも含めて何から整理すればいいか分からない」という段階のご相談で構いません。お電話・LINE・フォームで、ご相談は無料です。

よくある質問

Q. 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税は、もう廃止が決まったのですか?

決まっていません。本記事の時点(2026年10月22日)では、こども家庭庁が令和9年度税制改正要望で「令和9年3月31日の適用期限の到来をもって廃止」を要望している段階です。例年、年末の与党税制改正大綱と翌年の法改正を経て確定します。最新の状況は財務省・国税庁の公表情報でご確認ください。

Q. 期限までに口座に入れた分は、期限後に使えなくなるのですか?

こども家庭庁の要望書は「同日までに拠出された金銭等については、引き続き本特別措置を適用できることとする」としています。要望どおりに決まれば、期限までに拠出した分は引き続き制度の対象になります。ただし、要望段階である点は同じです。

Q. 1,000万円を入れて使い切れなかったら、どうなりますか?

国税庁のパンフレットによると、受贈者が50歳に達するなどして契約が終了したときに残額があれば、その残額は契約終了の年に贈与があったものとして贈与税の課税価格に算入されます。また、契約期間中に贈与者が亡くなった場合は、管理残額が相続等により取得したものとみなされ、受贈者が孫などの場合は令和3年4月1日以後の拠出分に相続税額の2割加算が適用されます。具体的な税額は税理士・税務署にご確認ください。

Q. 教育資金の一括贈与はまだ使えますか?

国税庁のタックスアンサー(No.4510・令和8年4月1日現在法令等)では、教育資金の一括贈与の非課税の対象期間は「平成25年4月1日から令和8年3月31日まで」とされており、新たな拠出の期限はすでに到来しています。期限前に拠出した分の扱いや、ご自身の契約の状況は、口座を開設した金融機関または税理士にご確認ください。

※本記事は2026年10月22日時点で公表されている財務省・こども家庭庁・国税庁・法務省の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する税務・法務上の助言ではありません。結婚・子育て資金の一括贈与や暦年贈与・相続時精算課税の適用可否、税額の比較・申告は税理士または税務署に、相続登記は司法書士または法務局にご確認ください。税制改正要望は要望の段階であり、与党税制改正大綱・法改正により内容が変わる可能性があります。実家・土地の棚卸しや売却・活用に関する部分は株式会社BATONがお受けし、必要な専門家におつなぎします。
出典: こども家庭庁 令和9年度税制改正見直し事項(廃止・縮減)「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の廃止」(PDF・財務省掲載)/財務省 令和9年度税制改正要望(8月31日付)/国税庁 タックスアンサー No.4511(令和8年4月1日現在法令等)/国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(PDF・令和7年6月)/こども家庭庁 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置/国税庁 タックスアンサー No.4510(令和8年4月1日現在法令等)/国税庁 タックスアンサー No.4408(令和8年4月1日現在法令等)/国税庁 タックスアンサー No.4161(令和8年4月1日現在法令等)/法務省 相続登記の申請義務化について/法務省 令和9年度税制改正要望事項(PDF・財務省掲載)

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