相続した実家が売れない…「負動産」かもと思ったら ― 滋賀で古い家を手放す方法と、解体・国庫帰属・相続放棄の順番【2026年9月時点】

「親の家を相続したけれど、築50年近くて、不動産会社には『この値段では難しい』と言われました。固定資産税だけ払い続けるのかと思うと、正直、手放したいんです」——滋賀で実家のご相談をうかがっていると、こうしたお話をいただくことがあります(当社でお受けしたご相談内容をもとに再構成した一般的な例です)。持っているだけで税金や管理の手間がかかり、売ろうにも買い手が見つからない。こうした不動産は、ネットでは「負動産」と呼ばれることがあります。ただ、「売れない」と言われた理由を分けていくと、手の打ち方が変わることも少なくありません。この記事では、建物が建ったままの実家に絞って、①「売れない」の理由の見分け方、②手放す方法と向き不向き、③「先に解体」の前に確かめること、④滋賀の相談窓口、を整理します。建物のない山林・農地などは使わない土地を手放したいで扱っています。
目次
「売れない」は、理由を3つに分けて考える
| 理由のかたまり | よくある例 | 最初に確かめる先 |
|---|---|---|
| ① 権利の問題 | 名義が親や祖父母のまま、相続人の話し合いがまとまっていない、境界がはっきりしない | 司法書士・法務局(登記)、弁護士(もめている場合)、土地家屋調査士(境界) |
| ② 建物・土地の条件 | 建物の傷みが激しい、家財が大量に残っている、道路との関係で建て替えに制限がある可能性 | 建築士、市町の建築・都市計画の担当課、不動産会社 |
| ③ 価格と売り方 | 希望価格と相場がずれている、「仲介」だけで探している | 複数の不動産会社(仲介と買取の両方)、空き家バンク |
①が残っていると、どの方法でも先に進めません。とくに名義は、2024年(令和6年)4月1日から相続登記の申請が義務化されており、それより前に相続したことを知った不動産は令和9年(2027年)3月31日までに登記する必要があるとされています(法務省)。詳しくは相続登記の義務化とは?をご覧ください。
②③は、「売れない」のではなく「今の売り方では売れにくい」という場合があります。1社の査定だけで結論を出さず、売り方を変えて確かめる余地があるかを見ておくと、あとで後悔しにくくなります。
出典: 法務省 相続登記の申請義務化
建物つきの実家を手放す方法と、向き不向き
| 方法 | お金の向き | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 現況のまま売る(仲介・買取) | 入ってくる | 解体費をかけたくない/家財を全部は片付けられない | 買取は仲介より価格が下がるのが一般的。契約条件(家財の扱い・引渡し時期)を書面で確認 |
| 解体して土地として売る | 入る・出るの両方 | 建物が傷みすぎて、家としての買い手がつきにくい | 解体費がかかる。解体の時期によって固定資産税や税の特例の扱いが変わり得る(次章) |
| 空き家バンクに登録する | 入ってくる | 住まいとして使える状態で、時間をかけてもよい | 市町ごとに制度が異なる。成約時は宅地建物取引業者への媒介手数料がかかる場合がある |
| 相続土地国庫帰属制度 | 出ていく | 解体後も売れる見込みがなく、要件を満たす土地 | 建物がある土地は申請できない。審査手数料は土地一筆14,000円で、却下・不承認でも返還されない。承認後は負担金(10年分の標準的な管理費用を考慮して算定した額)を納める |
| 相続放棄 | 出ていく(申述費用) | まだ相続を承認していない段階で、財産全体として放棄を検討する場合 | 実家だけを放棄することはできない。自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内 |
国庫帰属は「建物をなくしてから」の制度です。法務省は、申請できない土地(却下事由)の最初に「建物がある土地」を挙げています。つまり実家の場合、解体費+審査手数料+負担金を払う前提になり、境界が明らかでない土地なども申請できません。法務省の統計では、令和8年8月31日時点で申請5,997件に対し帰属3,119件となっています。制度の詳細は相続土地国庫帰属制度で整理しています。
相続放棄は、方法というより「タイミングの違う選択」です。裁判所の説明では、相続の放棄は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述するものとされ、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。放棄すると預貯金なども含めて相続しないことになり、また放棄の時に実家を現に占有していた場合は、相続人または相続財産清算人に引き渡すまでの間、その財産を保存する義務を負うとされています(民法第940条第1項)。放棄できる状況かどうかは事案によって判断が分かれるため、弁護士または家庭裁判所にご確認ください。
出典: 法務省 相続土地国庫帰属制度の概要/法務省 相続土地国庫帰属制度の統計/裁判所 相続の放棄の申述/民法第940条第1項
「先に解体」の前に確かめたい2つのこと
固定資産税 — 住宅がなくなると特例が外れることがある
住宅が建っている土地には、固定資産税の住宅用地の特例があり、たとえば小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡以下の部分)では課税標準が価格の6分の1とされています(地方税法第349条の3の2)。草津市も、住宅を取り壊すと特例が外れ、税額が上がる場合があると案内しています。解体してから売れるまでの期間が長引くと、その間の税負担が変わり得る点は知っておいてください。具体的な税額は、実家のある市町の資産税担当課でご確認ください(草津市は税務課資産税係 077-561-2310)。
3,000万円控除 — 解体の時期と方法で扱いが変わり得る
相続した空き家を売ったときの3,000万円の特別控除(令和9年12月31日までの譲渡が対象)は、建物を取り壊してから土地を売る場合や、令和6年1月1日以後の譲渡で、買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを行う場合も対象になり得るとされています。一方で、相続から取壊し・譲渡までの間に事業や貸付、居住に使っていないことなどの要件があり、相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円までとされています。解体を発注する前に、税務署または税理士に当てはまりを確認するのが確実です。確認書の取り方は実家を売って3,000万円控除を使うにはをご覧ください。
出典: 国税庁 タックスアンサーNo.3306(令和8年4月1日現在法令等)/草津市 固定資産税Q&A【家屋関係】/草津市 家屋を建てたり取り壊したときの手続き/地方税法(e-Gov法令検索)/草津市 不良空き家除却促進補助金
滋賀で相談できる窓口(できること・できないこと)
| 窓口 | 連絡先 | 相談できること | 対象外になりやすいこと |
|---|---|---|---|
| 実家のある市町の空き家担当課 | 草津市 建築政策課 077-561-1502 など県内19市町 | 空き家の相談全般、補助金、空き家バンク | 個別の査定・売却の実務 |
| (公社)滋賀県宅地建物取引業協会 | 077-524-5456 | 空き家の活用(売買・賃貸)の相談 | 登記・税金の個別判断 |
| (公社)滋賀県建築士会 | 077-522-1615 | 劣化診断・リフォーム・解体の相談 | 売却先探し |
| 法務局 | 管轄のご案内で確認 | 相続登記の手続案内、国庫帰属の相談 | 売却・活用の提案 |
| 家庭裁判所 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 | 相続放棄の申述の受付 | 放棄すべきかどうかの助言 |
| 税務署・税理士 | — | 相続税・譲渡所得、3,000万円控除の当てはまり | 不動産の売り方 |
※連絡先は滋賀県「空き家に関する相談窓口」ページ(2026年1月28日更新)ほかによります。受付時間はそれぞれの窓口でご確認ください。出典: 滋賀県 空き家に関する相談窓口
県内の相談窓口と、空き家を相続したときの全体像は滋賀で相続した実家が空き家になったらにまとめています。
大阪府にお住まいのHさん(仮名)は、滋賀県内の実家について「古くて売れないから、解体して国に引き取ってもらうしかない」と考えておられました。ご相談の中で、まず名義と境界の状況を確かめ、解体費の見積りと、現況のまま売る場合の買取の条件を並べて比べたうえで、税務署に3,000万円控除の当てはまりを確認してから方針を決める、という順番に切り替えられました。※事例は個人が特定されないよう再構成したものです。建物や土地の条件によって結果は異なり、必ず買い手が見つかるわけではありません。
まとめ
- 「売れない」は、①権利 ②建物・土地の条件 ③価格と売り方に分けると、次の一手が見えやすくなります。名義が古いままなら、相続登記(令和6年4月1日より前に相続を知った不動産は令和9年3月31日まで)が先です(法務省)
- 建物つきの実家は、現況のまま売る/解体して売る/空き家バンクをまず検討し、お金が「入ってくる」方法から確かめる順番が合理的です
- 相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地は申請できません。解体費に加え、審査手数料(一筆14,000円・却下/不承認でも返還なし)と負担金がかかります(法務省)
- 相続放棄は実家だけを放棄することはできず、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に申述するものとされています(裁判所)。判断は弁護士または家庭裁判所へ
- 解体は発注前に確認を。住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる場合があり、3,000万円控除は取壊しの時期・方法で扱いが変わり得ます(国税庁・草津市)
登記は司法書士または法務局、相続放棄は弁護士または家庭裁判所、税金は税理士または税務署が専門の窓口です。株式会社BATONは滋賀県草津市で、「売れない」と言われた実家の現地確認・査定・買取・売却・解体の見積り取得といった不動産まわりをお手伝いし、必要に応じて各専門家におつなぎしています。
「うちの実家、どの方法なら手放せそうか」を知りたい段階のご相談で構いません。ご相談は無料です。
よくある質問
Q. 相続した実家だけを相続放棄することはできますか?
できません。相続放棄をすると、預貯金なども含めて相続しないことになります。また、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があるとされています(裁判所)。放棄できる状況かどうかは、弁護士または家庭裁判所にご確認ください。
Q. 古い家が建ったままでも、相続土地国庫帰属制度は使えますか?
使えません。法務省は、建物がある土地を申請できない土地(却下事由)としています。解体したうえで、境界が明らかであることなどの要件を満たす必要があり、審査手数料(一筆14,000円)は却下・不承認でも返還されません。まず法務局の相談で見込みを確かめることをおすすめします。
Q. 売れないなら、先に解体したほうがいいですか?
一概には言えません。住宅を取り壊すと固定資産税の住宅用地の特例が外れ、税額が上がる場合があります(草津市)。また、相続した空き家の3,000万円特別控除は、取壊しの時期や方法、相続人の数(3人以上なら2,000万円まで)などで扱いが変わり得ます(国税庁)。解体費の補助は交付決定前の着工が対象外になる制度もあるため、発注前に市町・税務署・税理士にご確認ください。
Q. 不動産会社に断られた古い家でも、相談できますか?
はい。断られた理由が名義・境界などの権利の問題か、建物の状態か、価格や売り方の問題かによって、次に確かめることが変わります。ただし条件によっては、買い手が見つからない場合もあります。
Q. 滋賀県内で、空き家の売却や解体について公的に相談できる窓口はありますか?
実家のある市町の空き家担当課(県内19市町すべてに窓口)、(公社)滋賀県宅地建物取引業協会(077-524-5456・売買・賃貸の相談)、(公社)滋賀県建築士会(077-522-1615・劣化診断・リフォーム・解体の相談)が、滋賀県のページで案内されています。
※本記事は2026年9月29日時点で公表されている法務省・裁判所・国税庁・滋賀県・草津市の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する法務・税務上の助言ではありません。相続登記は司法書士または法務局、相続放棄は弁護士または家庭裁判所、税金の取扱いは税理士または税務署、固定資産税は実家のある市町の資産税担当課、補助金は各市町の担当課にご確認ください。制度は改正されることがあります。実家の現地確認・査定・買取・売却・解体の見積り取得など不動産に関する部分は株式会社BATONがお受けし、必要な専門家におつなぎします。
出典: 法務省 相続登記の申請義務化/法務省 相続土地国庫帰属制度の概要/法務省 相続土地国庫帰属制度の統計/裁判所 相続の放棄の申述/国税庁 タックスアンサーNo.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例/地方税法(e-Gov法令検索)/草津市 固定資産税Q&A【家屋関係】/草津市 家屋を建てたり取り壊したときの手続き/草津市 不良空き家除却促進補助金/滋賀県 空き家に関する相談窓口/法務局 管轄のご案内
