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相続登記

相続登記が終わっていない実家を売るには|滋賀での手順・期間・費用と「相続人申告登記では売れない」理由【2026年9月時点】

公開日: 2026年9月3日|執筆: 株式会社BATON(相続と実家の相談室【滋賀県】)

相続登記が終わっていない実家と、引渡しの鍵

「実家の名義が、まだ亡くなった父のままなんです。この状態でも売れるものでしょうか」——滋賀県内で相続のご相談をお受けしていると、こうしたお話をうかがうことがあります(ご相談内容をもとに再構成した一般的な例です)。ご心配になるのは当然だと思います。ただ、実務の順番からいえば、登記が終わっていない段階でご相談いただくほうが、むしろ都合がよいことのほうが多いのです。名義を動かす手続きと、売るための準備は、並べて進められる部分があるからです。この記事では、①売買の前提はどこにあるのか → ②相続人申告登記との違い → ③登記から売却までの順番 → ④期間 → ⑤費用と2027年3月31日の期限、という順で整理します。

売買の前提は「決済・引渡しまでに名義が相続人に移っていること」

不動産を売るとき、買主は代金を払って所有権の移転登記を受けます。その前提として、売主側の名義が亡くなった方から相続人に移っている必要があります。亡くなった方の名義のままでは、そこから買主へ登記を移すことができません。

一方で、ご相談・査定・片付けの見積り・買主探しの準備は、登記の完了を待たなくても進められます。順番として「登記が全部終わってから不動産会社へ」と考えると、動き出しがまるごと数か月遅れてしまうことがあります。

登記が終わっていない段階で相談するほうが、名義を動かす手続きと売る準備を並行できるぶん、結果的に早く進むことが少なくありません。

なお、相続で不動産を取得したこと自体にも申請義務があります。法務省は、相続したことを知った日から3年以内の登記申請を求めており、正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料が科される可能性があるとしています。2024年4月1日の施行前に発生していた相続についても、令和9年(2027年)3月末までに登記する必要があるとされています。

出典: 法務省 相続登記の申請義務化特設ページ

「相続人申告登記」をしても、それだけでは売れません

期限内の遺産分割が難しいときのために、相続人申告登記という簡易な仕組みが用意されています。相続人であることを法務局に申し出ることで、申請義務を果たしたものと扱われる制度で、登録免許税がかからない点も含めて負担の軽い手続きです。

ただし、売却を考えている方は、ここを取り違えないでください。法務省は次のように説明しています。

「不動産についての権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、別途、相続登記の申請をする必要がある」

つまり、相続人申告登記は「過料を避けるための手続き」であって、「売れる状態にするための手続き」ではないということです。売却を予定しているなら、遺産分割協議をまとめて、相続人名義への登記まで進める必要があります。

出典: 法務省 相続人申告登記について

順番——登記 → 片付け → 査定 → 売却、ただし並行できる

実務では、次の順に進みます。①〜③は同時並行が可能です。

  1. 現在の登記の状態を確認する(登記事項証明書で名義を確認)
  2. 相続人を確定する(戸籍を集める)
  3. 査定を受ける・片付けの段取りを組む ← ここは登記の完了を待たなくてよい
  4. 遺産分割協議をまとめる(誰が実家を取得するかを決める)
  5. 相続登記を申請する(司法書士に依頼するのが一般的)
  6. 売買契約 → 決済・引渡し(この時点で名義が相続人に移っていること)

4の「誰が取得するか」を決めるとき、実家がいくらで売れそうかが分かっていないと、話し合いが進みにくいという事情があります。査定を先に受けておくと、分割の話し合いの材料がひとつ増えます。売却代金を相続人で分ける方法(換価分割)を選ぶ場合も、金額の見当がついているほうが合意しやすくなります。

片付けから売却までの段取りは実家の片付け(遺品整理)から売却まで、相続登記の期限や過料そのものについては相続登記の義務化とは?期限・罰則・手続きを解説で整理しています。

期間——時間がかかるのは「戸籍集め」と「話し合い」

期間は事情によって大きく変わりますが、時間が読めないのは登記の手続きそのものではなく、その前の2つです。

この2つを短くする公的な仕組みが2つあります。

戸籍証明書の広域交付(2024年3月1日開始)

本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書等を請求でき、本籍地が全国各地にあっても1か所の窓口でまとめて請求できます。ただし対象は本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母など)・直系卑属(子、孫など)の戸籍で、きょうだいの戸籍は含まれません。また、請求できる方が窓口に行く必要があり、郵送や代理人による請求はできません(顔写真付きの身分証明書の提示が必要)。

出典: 法務省 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)

法定相続情報証明制度

戸籍の束と相続関係を一覧にした図を法務局に提出すると、認証文を付した写しが無料で交付されます。相続登記だけでなく、預貯金の払戻し、相続税の申告、年金の手続などにも使えるため、戸籍の束を何度も出し直す必要がなくなります。

出典: 法務局 法定相続情報証明制度について

費用——登録免許税は0.4%。2027年3月31日までの免税措置がある

相続による所有権の移転登記の登録免許税は、課税標準が不動産の価額、税率が1,000分の4(0.4%)と定められています。

出典: 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(令和8年4月1日現在法令等)

これに加えて、期限付きの免税措置が2つあります。いずれも令和9年(2027年)3月31日までです。

免税措置(いずれも土地の登記が対象。建物は対象外)内容期限
相続登記をしないまま相続人が死亡した場合個人が相続により土地の所有権を取得し、その登記を受ける前に死亡したときの、その方名義にするための登記令和9年3月31日
不動産の価額が100万円以下の土地相続による所有権の移転登記・表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存登記令和9年3月31日

出典: 法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について

祖父母の代から名義が動いていない実家の土地部分は、1つ目の免税措置に当たる可能性があります。免税の対象はいずれも土地に限られ、建物は対象外です。該当するかどうかの判断や登記の手続きは司法書士の業務ですので、具体的な適用の可否は司法書士または法務局にご確認ください。

なお、司法書士に依頼する場合の報酬は事務所や事案の複雑さによって異なります。登録免許税(実費)と報酬は別であることだけ、あらかじめ知っておいてください。

「2027年3月31日」と「相続開始から10年」——2つの時計

登記が止まっている実家には、2つの時計が同時に動いています。

ひとつ目は2027年3月31日。施行前に発生していた相続の登記猶予期限であり、上の登録免許税の免税措置の期限でもあります。同じ日に2つ重なっている、と考えていただくと分かりやすいと思います。

ふたつ目は相続開始から10年。2023年4月1日施行の民法改正により、相続の開始から10年を経過した後にする遺産分割は、生前贈与等を考慮した具体的相続分ではなく、法定相続分または指定相続分によるものとされました(新民法904条の3)。「介護をしたぶんを考慮してほしい」「生前に援助を受けた分を差し引きたい」といった主張は、10年を過ぎると原則として通らなくなります。

ただし、法務省の資料には例外も示されています。①10年経過前に、相続人が家庭裁判所に遺産分割請求をしたとき②10年の期間満了前6か月以内に、遺産分割請求をすることができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由の消滅時から6か月経過前に家庭裁判所に遺産分割請求をしたときは、引き続き具体的相続分による分割ができるとされています。また、10年が経過した後でも、相続人全員が具体的相続分による遺産分割をすることに合意したケースでは、具体的相続分による遺産分割が可能とされています。

施行前に開始していた相続の扱いを含め、ご自身のケースがどうなるかの判断は、弁護士または家庭裁判所にご確認ください。

出典: 法務省 民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について(PDF)水戸地方法務局 民法・不動産登記法の一部改正と相続土地国庫帰属法について

売却を考えている方には、もうひとつ税制の時計もあります。相続した実家を売るときの3,000万円特別控除は、確定している期限が令和9年12月31日までの譲渡で、同時に「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日」という期限も動きます(令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を相続・遺贈で取得した相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円になるなど、要件が細かく定められています)。詳しくは実家を売って「3,000万円控除」を使うにはで整理しています。

事例:登記を待たずに査定を受けたケース(仮名)
草津市内の実家を相続されたBさん(仮名)は、名義が亡くなったお父様のままの状態でご相談に来られました。ご相談の時点では、きょうだい3人で「売るか残すか」が決まっていませんでした。先に査定を受けて金額の見当がついたことで、話し合いの材料ができ、遺産分割協議と並行して片付けの段取りを組むことができました。登記の申請は司法書士におつなぎしています。※事例は個人が特定されないよう再構成したものです。手続きの内容や期間はご事情によって異なります。

まとめ

登記の手続きは司法書士、遺産分割の話し合いは弁護士または家庭裁判所、税額の判断は税理士または税務署が専門です。株式会社BATONは滋賀県草津市で、登記がまだの段階からのご相談をお受けし、査定・片付け・買取・売却の部分を担当しながら、必要な専門家におつなぎしています。

「名義がまだ動いていないけれど、売れるのか知りたい」——その段階でご相談いただいて大丈夫です。ご相談は無料です。

よくある質問

Q. 相続登記が終わっていなくても、査定や相談はしてもらえますか?

はい。査定・片付けの見積り・売り方のご相談は、登記の完了を待たずにお受けしています。売買契約から決済・引渡しまでの間に名義が相続人に移っていることが必要になりますので、そこから逆算して段取りを組みます。

Q. 相続人申告登記をしました。これで実家を売れますか?

その状態のままでは、買主への所有権移転登記に進めません。法務省は、相続人申告登記は不動産についての権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりする場合には、別途、相続登記の申請をする必要があると説明しています。個別のケースの可否は司法書士または法務局にご確認ください。

Q. 遺産分割の話し合いがまとまりません。どうすればよいですか?

期限内の登記申請が難しい場合の選択肢として相続人申告登記があります。ただし売却には別途相続登記が必要です。また、相続開始から10年を経過した後の遺産分割は、原則として法定相続分または指定相続分によることとされています(10年経過前に家庭裁判所へ遺産分割請求をした場合などの例外があります)。話し合いそのものの代理は弁護士の業務ですので、必要に応じて専門家をご紹介します。

Q. 名義が祖父のままです。手遅れでしょうか?

手遅れではありませんが、相続人が増えているぶん、戸籍集めと話し合いに時間がかかります。相続により土地を取得した方が登記をしないまま亡くなった場合の登録免許税の免税措置(令和9年3月31日まで・対象は土地のみ)に当たる可能性もありますので、まず現在の登記の状態を確認するところから始めてください。

Q. 登記にかかる費用はいくらですか?

登録免許税は不動産の価額の1,000分の4(0.4%)と定められています(国税庁 No.7191)。これとは別に、司法書士に依頼する場合の報酬がかかります。報酬額は事務所や事案の内容によって異なりますので、依頼先にご確認ください。

Q. 戸籍は代理で取ってもらえますか?

2024年3月1日に始まった広域交付(本籍地以外の窓口での請求)については、請求できる方ご本人が窓口に行く必要があり、郵送や代理人による請求はできないとされています。従来どおりの本籍地への請求方法とは扱いが異なりますので、市区町村の戸籍窓口にご確認ください。

※本記事は2026年9月3日時点で公表されている法務省・法務局・国税庁の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する法務・税務上の助言ではありません。登記手続の可否や方法の判断は司法書士または法務局、遺産分割の話し合いに関することは弁護士または家庭裁判所、税額の判断は税理士または税務署にご確認ください。査定・片付け・売却の段取りなど不動産に関する部分は株式会社BATONがお受けし、必要な専門家におつなぎします。制度は改正されることがあります。
出典: 法務省 相続登記の申請義務化特設ページ法務省 相続人申告登記について法務省 戸籍法の一部を改正する法律について法務局 法定相続情報証明制度について法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について国税庁 No.7191 登録免許税の税額表法務省 民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について

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