生前贈与の「7年ルール」はいつから始まる?2026年に相続が発生する方が誤解しやすいポイント

「親から生前にもらった贈与が、相続のときに全部相続税の対象に戻されてしまうらしい」——2024年の税制改正以降、こうした話を耳にして不安になっている方は少なくありません。「生前贈与の加算期間が3年から7年に延びた」と聞くと、まるで今すぐ7年分すべてが対象になるように感じてしまいますが、実際には経過措置があり、2026年時点ではまだ「7年ルール」がフルに適用されているわけではありません。この記事では、国税庁の公表情報をもとに、加算期間の延長がどのように段階的に進んでいくのか、2026年に相続が発生した場合に実務上どうなるのかを整理します。
目次
そもそも「生前贈与加算(持ち戻し)」とは
相続税の計算では、亡くなった方(被相続人)から相続開始前の一定期間内に受け取った生前贈与を、相続財産に足し戻して相続税を計算するルールがあります。これを「生前贈与加算」と呼びます。すでに贈与税を納めている財産であっても、加算対象期間内の贈与であれば相続財産としてカウントされ、相続税の計算対象になります(納めた贈与税は相続税額から控除されるため、二重に課税されるわけではありません)。これまでこの加算対象期間は「相続開始前3年以内」でしたが、令和6年度(2024年度)税制改正により、段階的に7年以内へと延長されることになりました。
加算対象期間は「3年」から「7年」へ、3段階で延長中
加算対象期間の延長は、2024年1月1日以後の贈与から一度に切り替わるのではなく、国税庁の案内によると次の3段階で適用されます。
| 相続が発生した時期 | 加算対象期間 |
|---|---|
| 〜2026年12月31日 | 相続開始前3年以内(これまでと同じ) |
| 2027年1月1日〜2030年12月31日 | 2024年1月1日〜相続開始日(3年より前の部分は合計100万円まで控除) |
| 2031年1月1日〜 | 相続開始前7年以内(完全移行) |
2026年中に相続が発生する場合、実務上はどうなる?
今年(2026年)中に相続が発生した場合、生前贈与加算の対象期間は改正前と同じ「相続開始前3年以内」です。2026年中に亡くなられた方についての相続税申告では、加算期間の延長による影響はまだ生じません。
たとえば、滋賀県内にお住まいのAさん(60代)は、2023年に父から500万円の生前贈与を受けていました。仮に父が2026年中に亡くなった場合、この贈与は相続開始前3年以内には該当しないため、生前贈与加算の対象にはなりません。一方、同じ贈与でも相続の発生が2028年にずれ込んでいたとすると、2024年1月以降の贈与も加算対象期間に含まれてくるため、扱いが変わってきます。
誤解しやすいポイント・注意しておきたいこと
- 「まだ3年ルールだから今のうちに贈与を」と急いでも、加算期間はあくまで「相続開始日」を起点に数えるため、贈与した年ではなく実際に相続が発生する時期によって扱いが変わります。将来相続が発生する時期次第では、今の贈与が結果的に加算対象期間に含まれてくる可能性もあります。
- 2027年以降に段階的に加わる4年分については、合計100万円までは加算対象から控除される緩和措置が設けられています。
- 生前贈与加算(暦年課税)とは別に「相続時精算課税制度」という選択肢もあり、こちらは年110万円の基礎控除が新設されるなど、暦年課税とは異なる設計になっています。どちらの制度が向いているかは、贈与の目的・金額・家族構成によって判断が分かれるため、一般的な情報だけで決めず、専門家に相談しながら検討することをおすすめします。
よくある質問
Q. 生前贈与の加算期間は今もう7年になっていますか?
いいえ。2026年中に発生する相続については、これまでどおり相続開始前3年以内が加算対象です。加算対象期間が完全に7年になるのは2031年1月1日以降に発生する相続からです。
Q. 2027年〜2030年に相続が発生する場合はどうなりますか?
2024年1月1日から相続開始日までが加算対象期間になります。ただし、相続開始前3年より前の部分については、贈与財産の合計額から100万円を差し引いた残りが加算対象です。
Q. 生前贈与加算とは何ですか?
亡くなった方から相続開始前の一定期間内に受け取った生前贈与を、相続財産に足し戻して相続税を計算するルールです。すでに納めた贈与税がある場合は、その分は相続税額から控除されます。
※本記事は2026年7月30日時点の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案への法的・税務助言ではありません。制度は改正・運用変更される場合があります。最新の情報は国税庁等の公式情報をご確認いただくか、税理士等の専門家にご相談ください。出典: 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
