実家の解体費用に補助金は使える?草津市の不良空き家除却促進補助金(補助対象経費の5分の4・上限50万円)

「誰も住まなくなった実家、もう建物は傷んでいるから解体したい。でも見積もりを取ったら、思っていたより高くて手が止まってしまった」——空き家のご相談で、こうしたお話をうかがうことがあります(ご相談内容をもとに再構成した一般的な例です)。解体費用は建物の構造や立地によって大きく変わるため、ここで「相場はいくら」と申し上げることはできません。ただ、費用の一部を市が補助してくれる制度が用意されている場合があります。BATONの地元である草津市には「不良空き家除却促進補助金」があり、補助対象工事に要する経費の5分の4、上限50万円という内容です。この記事では、この制度の中身と申請の流れを草津市の公式情報から整理し、あわせて解体を決める前に確認しておきたい税金まわりの2つのポイントを、国税庁・市の公式情報をもとにご紹介します。
草津市「不良空き家除却促進補助金」の中身
草津市のページによると、補助の内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象工事に要する経費の5分の4 |
| 上限額 | 50万円 |
| 問い合わせ | 都市計画部 建築政策課 住まい政策係(電話 077-561-1502) |
補助対象工事に要する経費の5分の4(80%)が補助される内容ですが、後述するとおりすべての空き家が対象になるわけではありません。「老朽化がかなり進んだ空き家を減らす」ことを目的とした制度である点が、この補助金の性格を決めています。
なお、令和8年度の受付締切日や予算枠については、市のページに明記がありませんでした。年度の予算に限りがある制度は、枠がなくなり次第受付終了となることもあります。検討される場合は、早めに建築政策課へ状況を確認されることをおすすめします。
出典: 草津市 不良空き家除却促進補助金
対象になる空き家・申請できる人
草津市のページでは、対象となる空き家の要件として次の点が挙げられています。
- 主に住宅として使用されていた物件であること
- 1年以上居住等がされていないものであること
- 個人所有であること
- 故意に破損させていないこと
- 原則として、所有権以外の権利が設定されていないこと
- 特定空家等の勧告を受けていないこと
- 「屋根や外壁が崩れている等、かなり老朽化」した状態で、市の不良度判定基準の評点合計が100点以上であること
申請できる人についても、次の要件が示されています。
- 空き家の所有者または相続人であること
- 市税の滞納がないこと
- 国や県、市の公有地取得に伴う損失補償を受けていないこと
- 暴力団員でないこと
なお、相続人が申請できると明記されている点は、実家を相続された方にとって重要です。ただし相続人が複数いる場合、建物の取壊しは共有者全員の同意が必要と説明されるのが一般的で、実務上は相続人間での合意形成が前提になると考えておくのが安全です。法的な位置づけや必要な同意の範囲は事案により異なりますので、弁護士・司法書士等の専門家にご確認ください。
申請の流れは「事前調査の依頼」から
草津市の手続きは、次の順序で進むと説明されています。
- 事前調査の依頼(市役所建築政策課(市役所4階)へ直接持参)
- 交付申請 — 事前調査の結果通知を受けた日から30日以内
- 交付決定 — ここで初めて着工できます(決定前に着手した工事は補助対象外)
- 工事の実績報告 — 完了後30日以内、または2月末日のいずれか早い日まで
- 交付請求 — 「確定通知書」の通知を受けた日から10日以内
また、結果通知から交付申請まで30日以内、実績報告も完了後30日以内と、期限が短めに設定されています。書類の準備を後回しにしないほうが安全です。
解体を決める前に確認したい2つのこと
補助金が使えるとしても、解体は「建物をなくす」判断です。次の2点は、決断の前に必ず押さえておきたいところです。
(1)更地にすると、翌年度の固定資産税が上がることがある
土地に住宅が建っていると、固定資産税には「住宅用地の特例」が適用されます。草津市の説明では、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準額が評価額の6分の1(都市計画税は3分の1)、一般住宅用地は評価額の3分の1(同3分の2)とされています。
そして重要なのが、この特例は「1月1日時点で、住宅用家屋が存在している場合に適用されます」と説明されている点です。つまり、建物を取り壊して1月1日を更地の状態で迎えると、その年度は住宅用地の特例が適用されないことになります。
税額がどれくらい変わるかは土地の評価額や面積によって異なり、一律には言えません。「更地にしたら税金が6倍になる」といった単純な話でもありません(課税標準の割合と税額の変化は別の計算になります)。ご自身の土地でどうなるかは、市の税務担当窓口や税理士にご確認ください。
出典: 草津市 土地の評価について
(2)売却も視野にあるなら、「空き家の3,000万円特別控除」との関係を先に確認する
相続した実家を売る場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で、被相続人居住用家屋および敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円)を控除できる特例があります。国税庁のタックスアンサーでは、次のような要件が示されています。
- 適用対象は平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間の譲渡
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 対象となる「被相続人居住用家屋」は、昭和56年5月31日以前に建築されたこと、区分所有建物登記がされている建物でないこと、相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったことのすべてに当てはまるもの
家屋を取り壊して敷地を売る場合についても、「相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと」「取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと」といった要件があります。
このほかにも細かな要件があり、ここに挙げたものがすべてではありません。家屋を取り壊した後では、要件を満たすように状態を戻すことはできません。売却の可能性が少しでもあるなら、解体の前に税務署や税理士に確認しておくのが安全です。
出典: 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
まとめ
草津市には、老朽化した空き家の解体費用について、補助対象工事に要する経費の5分の4・上限50万円を補助する「不良空き家除却促進補助金」があります。ただし不良度判定基準の評点合計100点以上という条件があり、手続きは事前調査の依頼から始まります。着工前に市へ相談することが出発点です。
一方で、解体は税金の面にも影響します。更地になると翌年度以降の住宅用地の特例の扱いが変わり得ますし、売却を考えているなら空き家の3,000万円特別控除の要件との兼ね合いも出てきます。
まずは、(1)実家の建物がどれくらい傷んでいるか、(2)名義が誰になっているか、(3)解体後にどうするつもりか(売る・土地として活用する・持ち続ける)——この3点を整理してみてください。どれが最適かはご家族の事情と物件の状態によって変わり、一般論だけで決められるものではありません。具体的なご判断にあたっては、市の窓口や税理士・司法書士などの専門家、または当相談室にご相談ください。当相談室では、市の補助制度や必要な手続きの全体像を整理し、税理士・司法書士など適切な専門家へおつなぎするところまでをお手伝いしています。
よくある質問
Q. 草津市の不良空き家除却促進補助金は、いくらもらえますか?
草津市のページによると、補助対象工事に要する経費の5分の4の額で、上限は50万円とされています。ただし対象となるのは、1年以上居住等がされていない個人所有の空き家で、市の不良度判定基準の評点合計が100点以上のものなど、一定の要件を満たすものに限られます。また、同ページには「補助金の交付が決定する前に着手したものは、補助金の対象外となります」と明記されています。
Q. 相続した実家でも申請できますか?
草津市のページでは、申請者の要件として「空き家の所有者または相続人」であることが挙げられています。ただし市税の滞納がないことなど他の要件もあり、相続人が複数いる場合は解体についての合意形成も必要になります。詳しくは市の建築政策課にご確認ください。
Q. 実家を解体すると固定資産税は上がりますか?
草津市の説明では、住宅用地の特例は「1月1日時点で、住宅用家屋が存在している場合に適用されます」とされています。したがって更地の状態で1月1日を迎えると、その年度は住宅用地の特例が適用されないことになります。実際の税額がどう変わるかは土地の評価額や面積によって異なりますので、市の税務担当窓口や税理士にご確認ください。
※本記事は2026年8月11日時点で公表されている草津市および国税庁の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する税務・法務上の助言ではありません。制度は改正・運用変更される場合があり、補助金は年度ごとに要件・予算枠が変わることがあります。実際の申請や判断にあたっては、必ず草津市の担当課および有資格の専門家にご確認ください。
出典: 草津市 不良空き家除却促進補助金/草津市 土地の評価について(住宅用地の特例)/国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
