実家の解体費に使える補助金は?滋賀県内で確認できた制度と「申請できる時期」の落とし穴【2026年8月時点】

「相続した実家を解体したい。補助金が出るらしいと聞いたので、調べてから動こうと思っている」——空き家のご相談で、こうしたお話をうかがうことがあります(ご相談内容をもとに再構成した一般的な例です)。補助金を確認してから動く、というのはとても堅実な進め方です。ただ、実際に各市の公式ページを一つずつ読んでいくと、事情はもう少し複雑でした。制度が「あるかどうか」よりも、「今、申請を受け付けているかどうか」のほうが、実務では大きな分かれ目になるのです。この記事では、2026年8月時点で当社が各市の公式ページから確認できた内容を整理します。
目次
東近江市:令和8年度分の受付は、7月10日で終わっていました
東近江市には「空家等解体費補助金」があります。市のページによると、補助額は工事費用の5分の1(最大40万円)で、1,000円未満は切り捨てとされています。注目していただきたいのは、申請受付期間です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 工事費用の5分の1(最大40万円)※1,000円未満切捨て |
| 令和8年度の受付期間 | 令和8年7月1日(水曜日)~10日(金曜日) 8時30分~17時15分 |
| 令和8年度の受付状況 | 終了(予算超過のため令和8年7月29日(水曜日)午後2時に抽選を実施) |
受付期間は10日間だけでした。しかも申請が予算を超えたため、公開抽選が行われています。つまり、期間内に申請できた方の中でも、全員が補助を受けられたわけではないということです。
対象要件としては、築40年を超えていること、東近江市内の解体事業者が施工する工事であること、敷地内にある建築物、動産などのすべてを解体・撤去し、原則として敷地のすべてを更地にすることなどが挙げられています。
出典: 東近江市 空家等解体費補助金(ページ更新日: 令和8年7月30日)
草津市:受付期間の記載がないぶん、早めの確認を
当社の地元・草津市には「不良空き家除却促進補助金」があります。補助内容は補助対象工事に要する経費の5分の4(上限50万円)です。
対象となるのは、1年以上居住等がされていない個人所有の空き家で、老朽化が進んでいるもの。市の不良度判定基準の評点合計が100点以上であることが要件とされています。ご自身で「かなり傷んでいる」と感じていても、判定の結果次第で対象外となる可能性がある点は、あらかじめ知っておきたいところです。
草津市の制度については、対象要件と申請の流れを別の記事で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
出典: 草津市 不良空き家除却促進補助金(ページ更新日: 2026年6月12日)
「空き家の補助金」でも、解体には使えない制度があります
「滋賀 空き家 補助金」で検索すると、いくつもの制度が出てきます。ただ、当社が内容を確認したいくつかの制度も、解体(除却)ではなく改修・活用を対象にしたものでした。相続人の方が「実家を解体したい」という目的で探している場合、そのままでは使えない可能性があります。以下は、そのうち内容を確認できた2つの例です。
- 守山市 空き家活用推進補助金 — 補助率2/3・上限400万円と金額は大きいのですが、対象は観光交流施設・子育て支援施設・自治会活動拠点・共同仕事場など、地域コミュニティの維持・活性化に資する施設への改修です。市のページに解体を対象とする記載は見当たりませんでした。交付申請の前に企画政策課への事前相談が必須とされています。(守山市/ページ更新日: 令和6年5月16日)
- 大津市 定住促進リフォーム補助金(令和8年度) — 申請期間は令和8年4月20日(月曜)から令和8年12月28日(月曜)まで。補助対象工事費の10%(上限30万円)、転入世帯のうち15歳未満の子または出産予定者がある場合は20%(上限60万円)です。対象は内装工事、屋根・外壁工事、水周り改修、手すり設置、間取り変更などのリフォーム工事で、新築・建替え工事は対象外と記載されています。また「期間内に予算の上限に達した場合、受付を終了する場合があります」との明記があり、12月28日という日付だけを見て安心はできません。(大津市/ページ更新日: 2026年4月1日)
制度の名前に「空き家」と入っていても、目的が「使えるようにする」ことなのか「取り壊す」ことなのかで、対象はまったく変わります。ご自身の目的と、制度の目的が一致しているかを最初に確かめてください。
補助金を探す前に、押さえておきたい3つの視点
各市の情報を突き合わせて見えてきたのは、次の3点です。
1. 「受付期間・先着か抽選か・予算枠」をセットで確認する
制度の存在を知っただけでは足りません。東近江市の例のように、年に10日間しか窓が開かない制度もあります。市の窓口に問い合わせるときは、金額だけでなく「今年度はいつからいつまで受け付けますか」「先着ですか、抽選ですか」「予算枠はまだ残っていますか」の3点をあわせてお尋ねください。
2. 解体後の固定資産税の扱いを確認しておく
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する「住宅用地の特例」があります。総務省の説明によると、小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)は課税標準が価格の6分の1、それを超える一般住宅用地の部分は3分の1とされています。この特例は1月1日時点で住宅用家屋が建っているかどうかで判定されるため、建物を取り壊して更地の状態で1月1日を迎えると、その年度は特例の適用対象から外れることになります。
補助金で解体費の一部がまかなえても、翌年以降の税負担がどう変わるかは、あわせて確認しておきたい点です。具体的な税額や適用の可否は各市の資産税担当窓口でご確認ください。
参考: 総務省 固定資産税の概要
3. 「土地を国に引き取ってもらう」つもりなら、更地化は避けて通れない
相続土地国庫帰属制度を検討されている場合、建物が残っている土地は、審査に入る前の段階で退けられる「却下事由」にあたるとされています(相続土地国庫帰属法第2条第3項第1号)。また、審査段階の「不承認事由」でも、法務省が公表している運用状況(令和8年7月31日現在)によれば、不承認96件のうち最も多い46件が「土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地」に該当したものでした。
建物にせよ地上の残置物にせよ、片づけることが出発点になるということです。制度の全体像は相続した山林・使わない土地を手放すには?で整理しています。
参考: 法務省 相続土地国庫帰属制度の統計(令和8年7月31日現在)
まとめ
- 東近江市の空家等解体費補助金は、令和8年度分の受付が7月1日~10日の10日間で終了し、予算超過のため7月29日に抽選が実施されています(工事費用の5分の1・最大40万円)
- 草津市の不良空き家除却促進補助金は補助対象工事に要する経費の5分の4・上限50万円ですが、受付期間や予算枠の記載がないため、窓口への確認が欠かせません
- 守山市・大津市の制度は改修・活用が対象で、解体を目的とする方には使えない可能性があります。制度名の「空き家」だけで判断しないことが大切です
- 補助金を探すときは「受付期間・先着か抽選か・予算枠」を必ずセットで確認してください
補助金は、うまく使えれば心強い制度です。一方で、申請の時期を逃すと、翌年まで一年待つことになります。「制度を調べる」ことと「動く時期を決める」ことは、セットで考えていただきたいというのが、実家の空き家に向き合ってきた私たちの実感です。
「解体すべきか、それとも売却や活用の道があるのか」——判断に迷われたときは、一度ご相談ください。BATONは滋賀県草津市で、相続した実家・空き家のご相談をお受けしています。補助金の使える・使えないだけでなく、その建物と土地について検討すべき論点の全体像を整理し、税理士・司法書士など適切な専門家へおつなぎするところまでをお手伝いしています。ご相談は無料です。
よくある質問
Q. 東近江市の空家等解体費補助金は、まだ申請できますか?
東近江市のページには「令和8年度の受付は終了しています」と記載されています。令和8年度の申請受付期間は令和8年7月1日(水曜日)から10日(金曜日)の8時30分から17時15分までで、申請が予算を超えたため令和8年7月29日(水曜日)午後2時に抽選が実施されています。補助額は工事費用の5分の1(最大40万円・1,000円未満切捨て)です。令和9年度の募集の有無や日程は現時点では分かりませんので、東近江市の公式ページでご確認ください。
Q. 草津市の不良空き家除却促進補助金には申請の締切がありますか?
草津市のページには申請受付期間や予算枠の記載が見当たりませんでした。ただし、記載がないことは「いつでも申請できる」ことを意味するとは限りません。年度予算に限りのある制度では枠がなくなり次第受付を終了する運用も一般的ですので、検討される場合は草津市 都市計画部 建築政策課 住まい政策係(電話 077-561-1502)へ現在の受付状況をお尋ねください。補助内容は補助対象工事に要する経費の5分の4(上限50万円)です。
Q. 「空き家の補助金」であれば解体費にも使えますか?
制度によって異なります。当社が内容を確認した守山市空き家活用推進補助金(補助率2/3・上限400万円)は観光交流施設や自治会活動拠点などへの改修が対象で、市のページに解体を対象とする記載は見当たりませんでした。大津市定住促進リフォーム補助金も対象はリフォーム工事です。制度名に「空き家」と入っていても、目的が「使えるようにする」ことか「取り壊す」ことかで対象は変わりますので、ご自身の目的と制度の目的が一致しているかを最初にご確認ください。
※本記事は2026年8月20日時点で公表されている各市および総務省・法務省の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する税務・法務上の助言ではありません。補助金は年度ごとに要件・受付期間・予算枠が変わることがあり、制度自体も改正・運用変更される場合があります。法務省の統計は更新されます。個別の申請可否や税務・法務の判断については、各市の担当窓口や、税理士・司法書士などの専門家にご確認ください。
出典: 東近江市 空家等解体費補助金/草津市 不良空き家除却促進補助金/守山市 空き家活用推進補助金/大津市 定住促進リフォーム補助金/総務省 固定資産税の概要/法務省 相続土地国庫帰属制度の統計
